物理アレルギー

こと勉強の面において、文系は理系にバカにされることが多く、また、文系は理系にある種の尊敬を抱いていることが多い。実際そのような光景は、僕が通っていた高校でも多く見られた。もし全ての文系が、自分の実力よりも自分のやりたいことを勘案して文系に進んでいたのなら、このような事象が多く見られることは無いはずだ。そのため、多くの文系にとって「理数系科目が出来ないため」という理由が、全てとは言わないまでも、文系に進んだ大きな要因の一つとなっていることは確かである。だが、前述の事象から逆に、理系に進んだ者で、そのような消極的理由が大きなウェイトを占めている者は少ないと推測される。では何故、理数系科目は特に"アレルギー"を生みやすいのか。

 

この疑問に対する答えを探すため、昨年度のセンター試験についてのデータを見てみる。通常、国公立大学を志望する文系は、センター試験では理数科目として「数1A、数2B、理科基礎2科目」を受けることが多い(私立文系志望は3教科型がメジャーなのでそもそも理数系を受けないことが多い)。なので、文系特有の理数科目とも言える、理科基礎の受験者数についてのデータを見る。すると「物理基礎:13,289、化学基礎:88,263、生物基礎:116,591、地学基礎:41,617」とある。そう、物理基礎の受験者数は、あのマイナー科目である地学の基礎よりも少ないのである(どれだけ地学がマイナーかというと、受験者数が少なすぎて、他の理科科目に比べて点数が著しく違っても補正が行われないレベル)。反対に、生物基礎の受験者数は、文系の専門である歴史科目のうちのひとつ、世界史Bの受験者数(84,053)を優に超える。ここから分かるように、文系は「物理が苦手で生物が得意」なのである。

 

ここからは僕の考えを述べる。「生物は暗記、物理は思考」とはよく言われることだが、確かに生物は暗記項目が多くとっつきやすい。それに比べて物理は、日本語ではなく数式が非常によく出てくるし、慣性の法則なども摩擦のある現実世界とは乖離しているように見えるので、とっつきにくい学問かもしれない。だが、僕の言いたいことはそこではない。文系は本当に物理が分からないのだろうか?もしかして文系の人は、何となく周りに流されて、物理が分からない気になっていないだろうか?ろくに勉強もしていないのに、皆出来ないし私が出来ないのも当たり前だと思っていないだろうか?数式が出てきた途端に脳をシャットダウンし、意味を理解しようともしていないのではないだろうか?てか物理分からない自分ちょっと可愛いと思ってない?

センター試験を物理で受けた身としては、センター物理基礎は決して難しくないし、盲目的に嫌うのは非常にもったいないと思う。食わず嫌いせずにやってみてほしい。